- 「海光樹 36景」 第3景について-
日の出前の空は、刻々と変化して多彩な風景をつくる時でもある。
その状況を固唾を呑んで待ち続ける時間は風景写真の醍醐味ではなかろうか。 だが、時としてその期待に反してアクションの無い淡々とした風景に終わってしまう事が多いが、今回の第３景は状況作品を見れば解ると思うが、通常であればシャツターを切らずに、その場から立ち去るであろう同じ事が、富士山の撮影地で良く見かける。
夜明け前から待ち続けていた人達は、何も変化がなく淡々とした風景になった時、「今日は駄目だと吐き捨てて」その場から引き上げる光景を何度も見てきた。こちらは違う、アクションが無い平凡な自然現象でも、その状況に合わせイメージを描き作品にする事が出来るのである。
状況の作品から完成作品「今月の作品」までのプロセス、撮影コンテを見ていただき、そのフィルターの使い方を得てほしいと願っている。
花の持つ色彩美（彩）・形（姿）はとても印象的です。
この彩・姿を総合的な主観で表現したいと思い、フィルターテクニックを使ってモチーフを独創的に表現した作品が『彩姿』です。
それぞれの風景の中で木立はその風景にアクセントをつけています。
朝夕と共に変容する一瞬の幻想的な風景も、また自然を語るモチーフでもあります。
この情景をイメージして状況に適したフィルターを活用して『幻想の木立』を描きました。
シリアスな色彩の中で見せる木立の姿、季節・時間・場所それぞれの自然の中で美しく見せる木立の姿に、いつしか憧れ的な感動を覚え撮影する様になりました。『幻想の木立』とは、また違った観点で自分が描いた色彩とを更に強調させる為にフィルターを使って作品にしています。
（デジタル）
天空の再現は、それぞれの場所で空の空間にそびえ立つ木立の姿も、また幻想的な美しさがあり忘れられない瞬間を記憶だけでは乏しく、その瞬間を写しとめています。
（デジタル）
今回の作品は水を中心にした風景の中で、木立の存在感を強調させる為に、フォグフォーカスフィルターを多く使用しています。主題の持つ色彩感を意図的にぼかしましたが、ただモチーフをぼかすと言う行為だけではなく、水辺に対してどの様なぼかし方が適格なのかをイメージして、それぞれの木立・夏編 『水辺の木立』を描いてみました。
東京都出身。フィルターテクニカルクラブ（FTC）代表。広告写真をはじめ、ライフワークで自然写真に取り組み、書籍・雑誌に作品を発表。記念切手の原画撮影で、 「国宝シリーズ」「20世紀デザイン切手シリーズ」「世界遺産シリーズ」、日本郵政公社（現：郵便事業株式会社） 「平成18年 かもめ〜る（夏のおたより郵便はがき）」原画提供など多数。
写真展は1982年「尾瀬霧幻」1986年「尾瀬陽光」（富士フォトサロン）、2002〜2004年「幻想の木立」（東京、福岡、名古屋、札幌の富士フォトサロン）で開催。写真集「尾瀬霧幻」（誠文堂新光社）「変幻の姿尾瀬」（青菁社）、書籍「楽しむ果実酒」（雄鶏社）、「花写真の撮り方」（成美堂）、「フィルター風景術」（学研）、2004年5月発売の「スーパー感動する写真術」（グラフィック社）がある。
（社）日本写真家協会会員。（社）日本写真協会会員。
